親子で聴く《動物の謝肉祭》|楽器が描く動物の音を見つけよう

《動物の謝肉祭》は、サン=サーンスが書いた14曲からなる作品です。ライオン、象、鳥、白鳥などを、ピアノや弦楽器、管楽器の音で描き分けます。親子で聴くなら、全曲を一度に聴く必要はありません。まず一曲を選び、主役の音が高いか低いか、長く伸びるか細かく動くかに耳を向けてみましょう。

《動物の謝肉祭》はどんな曲?

作曲したのはフランスの作曲家カミーユ・サン=サーンス。フランス国立図書館の作品記録によると、1886年2月に書かれ、全14曲で構成されています。題名には「序奏とライオンの王様の行進」「象」「鳥かご」「白鳥」などが並び、動物ではない「ピアニスト」や「化石」も登場します。

二台のピアノに、ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器、フルート、クラリネットなどが加わります。どの曲でも同じ楽器が主役になるわけではありません。一曲ごとに耳を向ける相手が変わることが、この作品のおもしろさです。

まずは4曲。どの楽器が動物を描く?

序奏とライオンの王様の行進:弦楽器とピアノが堂々とした行進をつくります。低い音域でピアノが転がるように鳴る部分は、ライオンのうなり声を思わせます。足取りのように進む音と、途中で現れる低い音を分けて聴いてみてください。

象:目立つのはコントラバスです。ヴァイオリンやチェロよりも大きく、低い音を出す弦楽器が旋律を奏でます。「低い音だから重そう」で終わらせず、音が跳ねるように動くところも探すと、象の姿を想像する余地が広がります。

鳥かご:フルートが軽く素早い音で鳥を描き、後ろでは弦楽器とピアノも鳴っています。まず高い音を追い、次にその背景の音へ耳を移してみましょう。一度目には聞き逃した音が見つかるかもしれません。

白鳥:チェロが長くなめらかな旋律を奏で、ピアノが寄り添います。「鳥かご」のフルートとは、同じ鳥を扱いながら音の動き方が対照的です。速く細かく動く鳥と、ゆっくり進む白鳥。二曲を続けて聴くと、楽器を知らなくても違いに気づけます。

こうした楽器の対応は、録音を制作したMaestro Classicsの聴き方ガイドでも確認できます。なお、動物の姿を音からどう感じるかは、聴く人によって違ってかまいません。

親子で聴くなら、正解探しより「どんな音?」

曲名を見ずに短い一曲を再生し、「速い足音みたい? ゆっくり歩いているみたい?」と話してから題名を見る方法もあります。すでに題名を知っていても、どの音を動物に結びつけたかを話すだけで十分です。

小さな子には「高い音が聞こえた?」「長く伸びたのはどの音?」のように、音の特徴を一つだけ尋ねてみましょう。言葉にならなければ、聴きながら指で動きをなぞってもよいでしょう。大人だけで聴く場合も、楽器名を当てるより、前の曲と音色がどう変わったかを比べるところから始められます。

白鳥が気に入ったらチェロの音を、鳥かごが気に入ったらフルートの音を、ほかの曲でも探してみてください。鑑賞は知識を覚える時間ではなく、気になった音にもう一度会いに行く時間です。

ほかのクラシックにも耳を広げる

作品を聴いて楽器どうしの役割が気になった方には、指揮者の役割を紹介したコラムもあります。ほかのテーマを探すなら、コラム一覧から気になる記事を選んでみてください。