ラヴェルの《ボレロ》は、同じ小太鼓のリズムが続くあいだに、旋律を受け持つ楽器と音の重なりが変わっていく作品です。親子で聴くなら、楽器の名前を先に覚える必要はありません。冒頭の「変わらない音」を見つけ、少し先で「何が変わった?」と話すところから始められます。
変わらないのは、小太鼓のリズム
《ボレロ》は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが1928年にバレエのために書いた作品です。静かな始まりから、同じリズムを刻む小太鼓が曲を支えます。このように一つの形を繰り返すことを、音楽では「オスティナート」と呼びます。
その上には、二つの旋律がそれぞれ繰り返し現れます。新しいメロディーが次々に登場するというより、聞き覚えのある旋律が別の楽器から聞こえてくるところが、この曲のおもしろさ。小太鼓の刻みを見失っても、次に気づいたときにまた耳を戻せば十分です。
作品の成り立ちと構成は、パリ・フィルハーモニーの曲目解説とオーケストラ・ド・パリの教育資料で確認できます。ここでは細かな回数を覚えるより、繰り返しを耳で感じることを目標にしましょう。
同じ旋律でも、楽器が替わると違って聞こえる
最初の旋律はフルートが吹き、次はクラリネットへ受け渡されます。もう一つの旋律を初めに吹くのはファゴットです。「さっきの曲と似ているけれど、声の色が変わったね」と話してみると、旋律を正確に歌えなくても変化を追えます。
進むにつれて、サクソフォーンやトロンボーンの音も聞こえます。楽器の登場順をすべて当てる必要はありません。細く聞こえる音、少しざらりと感じる音、伸びやかに広がる音など、親子でそれぞれの言葉を見つけてみてください。同じ楽器でも演奏によって印象は変わります。
ヴァイオリンは、いつ旋律を奏でる?
弦楽器は初めから短い伴奏を担っていますが、ヴァイオリンがまとまって旋律を奏でるのは後半です。小太鼓と旋律を追ったあと、「今はヴァイオリンの音が前に出てきたかな」と耳を向けると、同じ曲の景色が変わっていくのを感じられます。
音は全体として大きな盛り上がりへ向かいます。ただし、毎回同じように音量が増えるわけではなく、楽器の交代や組み合わせによって、いったん薄く聞こえるところもあります。終盤は響きが強くなるので、家で再生するときは音量を控えめにしておくと安心です。
家では、冒頭と後半を分けて聴いてもいい
長く感じたら、初日は冒頭だけでも構いません。「小太鼓はどこで聞こえる?」「最初の笛のような音が別の音に替わった?」と、一つだけ問いを置いて聴きます。答えが違っても、その音をもう一度聴いてみるきっかけになります。静かに座り続けることも、楽器名を言い当てることも必要ありません。
別の日に後半を聴き、「最初より音が重なったかな」と比べる方法もあります。録音ごとに演奏の速さは異なるため、何分何秒という目印には頼らず、音の変化を手がかりにしてみてください。親が気づいた音を伝えることも、話すきっかけになります。
次は、違う仕組みの曲を聴いてみる
《ボレロ》では一つの作品の中で音色が移り変わります。短い曲を一曲ずつ選び、楽器と場面の違いを楽しみたいときは、《動物の謝肉祭》を親子で聴くコラムへ。ほかにも気になるテーマがあれば、コラム一覧から選べます。
