クラシック音楽の知られざる「色」〜共感覚が作り出す音楽の世界〜
クラシック音楽の中には、「色」を感じさせる作品が多く存在します。
例えば、ドビュッシーの音楽は「パステルカラー」、ワーグナーの音楽は「深紅」といった表現です。これは単なるイメージに留まりません。
中には、実際に音を「色」として感じていた作曲家がいます。これが「共感覚」という現象です。
音に色を見る「共感覚」とは
共感覚とは、ある一つの刺激に対して、通常の感覚とは別の感覚が自動的に引き起こされる現象です。
具体的には、特定の「音」を聴くと、「色」が見える、あるいは感じるというケースが知られています。クラシックの歴史には、この共感覚を持っていたとされる有名な作曲家が数人存在します。
スクリャービン:光の鍵盤を持つ作曲家
ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービンは、共感覚を持つことで特に有名です。彼は各音階に独自の色を感じていました。
例えば、彼は「ハ長調(C major)」を赤色に、「嬰ヘ長調(F# major)」を明るい青色に感じていました。彼は自身の交響曲『プロメテウス』において、特殊な楽器を使いました。
これは、鍵盤を押すと色光が放たれる「光の鍵盤」です。彼は音と光を融合させようと試みました。
リムスキー=コルサコフも色を感じた
スクリャービンの師でもあったニコライ・リムスキー=コルサコフもまた、共感覚を持っていたとされます。
彼はオーケストラの楽器の音色にも独特の色彩を感じていました。
したがって、彼の作品は非常に色彩豊かです。鮮やかな管弦楽法が特徴的です。これらの作曲家は、楽器の音色の選び方や和声の配置に「色」の感覚を反映させていたと考えられています。
次にクラシック音楽を聴くときは、目を閉じてみましょう。その音楽がどんな「色」をしているか想像してみるのも楽しいでしょう。
