大人のヴァイオリンの「現実」と向き合う。上達しないスランプ期を乗り越える3つの処方箋
「憧れのヴァイオリンを大人から始めてみたけれど、思ったように指が動かない……」
「仕事が忙しくて練習時間が取れず、上達が止まってしまった。やっぱり大人から始めるのは無理だったのかな……」
このように、大人になってから音楽に挑戦された方の中で、理想と「現実」のギャップに悩み、挫折しかけている方は決して少なくありません。
周りの目が気になったり、自分を責めて「もう辞めたい」と思ってしまうことすらありますよね。
結論から申し上げますと、大人になってから直面する上達の壁(スランプ)は、あなたの才能がないからではなく、脳と身体が次のステップへ飛躍しようとしている「成長の準備期間」です。そのため、今の自分を否定する必要は一切ありません。
なぜなら、大人の学習は子どもの「感覚的な習得」とは異なり、頭での理解と身体の連動に少しのタイムラグが生じるのが当たり前だからです。しかし、大人には子どもにはない「論理的思考力」と「豊かな人生経験」という最強の武器があります。
今回は、大人特有のバイオリンのスランプを無理なく乗り越え、再び音楽を心から楽しむための3つの処方箋をお伝えします。
1. 練習の「やり方」を180度変えて、脳に新鮮な刺激を与える
毎日同じ練習曲を同じ手順で弾いていると、脳がそのパターンに慣れてしまい、マンネリ化して上達を実感しにくくなります。壁を感じたときは、あえてアプローチをガラリと変えてみましょう。
- 「超スロー」で弓と指の癖を観察する: 弾けないフレーズを、通常の半分以下の極端に遅いテンポで弾いてみます。普段は気づかなかった無駄な力みや、弓の角度のズレが論理的に見えてきます。
- 音を出さない「サイレント練習」: あえて弓で弦をこすらず、左手の運指(指の形)や右手のボーイングの軌道だけを鏡の前で確認します。音の良し悪しに気を取られないため、フォームの改善に100%集中できます。
- 一旦その曲から離れて、別の曲に浮気する: 苦戦している曲を数日お休みし、少し簡単で大好きなジャンルの曲をのびのびと弾いてみてください。「弾けた!」という小さな達成感が、モチベーションを劇的に回復させます。
2. 他人と比較せず、日々の「小さな前進」を認め、記録する
スランプに陥っているときは、どうしても「できないこと」ばかりに意識が向き、減点方式で自分を評価しがちです。
アドラー心理学の視点からも大切なのは、他者や理想の姿と比べるのではなく、昨日の自分からの「一歩の挑戦」に目を向けることです。ぜひ、小さなメモやノートに「今日できたこと」を1つだけ書き出してみてください。
- 「新しいポジションの形を意識できた」
- 「5分だけ楽器を構える時間が作れた」
どんなに些細な内容でも構いません。自分のプロセスをありのまま認め、加点方式で自己受容してあげることが、大人の練習意欲を持続させる一番の特効薬になります。
3. 「弾く」をお休みし、一時的に「鑑賞」へ目的をシフトする
思い切って、数日間は楽器ケースを開けない期間を作ってみるのも一つの手です。その代わり、プロの演奏を聴きに行ったり、素晴らしい音源に触れる時間に当ててみてください。
大人の演奏において、最大の強みとなるのは「これまでの人生で培ってきた感情の深さや表現力」です。
技術的な壁にぶつかったときこそ、美しい音楽をインプットすることで、「なぜ自分はヴァイオリンを始めたかったのか」という原点の憧れや、音楽がもたらす心の潤いを思い出すことができます。
上達の壁は、プロのサポーターと一緒に楽しく乗り越えるもの
スランプは、あなたがバイオリンと真剣に向き合い、もっと上手くなりたいと願っている動かぬ証拠です。
大人の趣味だからこそ、一人で抱え込んで苦しむ必要はありません。仕事の忙しさに寄り添い、現在のライフスタイルに合わせた無理のない道筋を一緒に考えてくれる専門家(講師)に相談することが、現実の壁を最も楽しく、最短で突破する近道になります。
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