誰もが知る名曲にも秘密が?〜隠された意味を持つクラシックのタイトル〜
クラシック音楽には、曲のイメージを豊かにする美しいタイトルが多く存在します。
しかし、そのタイトルが作曲家本人が付けたものではない場合があります。後世の人が作品の印象から付けたケースが少なくありません。
今回は、誰もが知る名曲に隠された、タイトルの秘密を深掘りします。
ベートーヴェン『月光』ソナタの真実
ベートーヴェンのピアノソナタ第14番は有名です。ロマンチックなタイトル『月光ソナタ』として親しまれています。
- 秘密: このタイトルは、ベートーヴェンの死後に付けられました。詩人で音楽評論家のレルシュタープが名付けたものです。彼は、「この曲を聴いていると、まるで湖の月光の波に浮かんでいる小舟のようだ」と表現しました。そこから広まったのです。
- 作曲家の意図: ベートーヴェン自身は、この曲に『幻想曲風ソナタ』という形式的なタイトルしかつけていませんでした。さらに、彼はこのロマンチックなタイトルを嫌っていたとも言われています。
ドビュッシー『月の光』
印象派の作曲家ドビュッシーの組曲『ベルガマスク組曲』の有名な一曲もそうです。『月の光』という美しい名前で親しまれています。
- 由来: このタイトルは、フランスの詩人ヴェルレーヌの詩『月の光(Clair de lune)』から取られました。ドビュッシー自身がこの詩に感銘を受けてタイトルを付けたのです。したがって、これは正確には「後付け」ではありません。しかし、詩の世界観が音楽に深く影響を与えています。
ショパン『雨だれ』のインスピレーション
ショパンの『前奏曲 Op.28-15』は、『雨だれ』という愛称で呼ばれています。
- 由来: 彼が恋人ジョルジュ・サンドと共にマヨルカ島に滞在していた時のことです。雨が降る音を表現したものだと言われています。サンドの手紙には、実際に「ショパンが、屋根から落ちる雨の音を主題にしたプレリュードを作曲した」という記述が残っています
タイトルの裏にある物語を知ることで、音楽をより深く感じることができます。ヴァイオリンで演奏されるクラシック曲にも、こうした背景が数多く隠されています。
